いい話 ぼくちゃん 反響が良かったからもっといいの持ってきたよ
「嘘つき」のお父さんある小さな女の子と、そのお父さんのお話です。女の子はお父さんのことが大好きでしたが、小学生になると、お父さんがたくさんの「嘘」をついていることに気づくようになりました。お父さんは毎日、夕方になると「仕事で大成功したから、今夜はごちそうだぞ!」と言って、女の子にだけ大好きなハンバーグやチキンを買い与えてくれました。そして、自分は白ご飯と漬物だけを食べながら、こう言いました。「お父さんは、もうお腹がいっぱいなんだ」(1つ目の嘘)またある日、お父さんは女の子が欲しがっていた可愛いワンピースと、新しいランドセルを買ってきてくれました。お父さん自身は、何年も同じ、擦り切れて穴の開いたスーツを着ているのに、こう言いました。「お父さんは、この服が一番お気に入りだから新しいのはいらないんだ」(2つ目の嘘)さらに、女の子が風邪をひいて熱を出した夜。お父さんは一晩中、女の子のベッドの横で看病し、朝になると仕事へ出かけていきました。目の下にひどいクマを作り、フラフラになりながら、お父さんはこう笑いました。「お父さんは、全然眠くなんてないし、ちっとも疲れていないよ」(3つ目の嘘)女の子は大きくなるにつれ、お父さんがとても不器用で、自分のためにいつも無理な嘘をついていることを知っていました。そして、女の子の高校の卒業式の日。お父さんは式に出席するため、一張羅のスーツを着ようとしましたが、ひどい目眩(めまい)を起こしてその場に倒れ、そのまま病院へ救急搬送されてしまいました。病名は、極度の栄養失調と、長年の過労によるものでした。ベッドの上で目を覚ましたお父さんは、駆けつけた娘の顔を見て、申し訳なさそうに、また消え入りそうな声で嘘をつこうとしました。「ちょっと立ちくらみがしただけだ、お父さんはどこも痛くないし、元気……」その言葉を遮るように、女の子はお父さんのガリガリに細くなった手を両手で握りしめ、ボロボロと涙を流しながら叫びました。「お父さん、もう嘘はつかないで! お腹がいっぱいなわけない! 疲れていないわけない! 私のために、毎日ボロボロになって働いてくれていたの、ずっと知ってたよ! お父さんの嘘は、世界で一番優しい嘘だけど……もう無理しないで!」お父さんは一瞬驚いた顔をしましたが、娘の手を優しく握り返し、涙を浮かべて「立派に育ってくれて、ありがとうな」と、初めて本当の気持ちを口にしました。女の子は、お父さんが自分の人生のすべてを犠牲にして、自分をここまで育ててくれたのだと、その温かい手の温もりから痛いほど感じていました。

