ボブ・ディランがなんでノーベル文学賞なの?
小説家の村上春樹を抑えて2016年のノーベル文学賞を受賞した、ミュージシャンのボブ・ディラン。「風に吹かれて」のメロディーくらいしか知らないという人の中には「なんでボブ・ディランなの?」と思っている人も少なからずいるのではないでしょうか。
ここではボブ・ディラン(以下、ボブ)のこれまでの実績や大物ミュージシャンへの影響力、そして「時代の代弁者」と呼ばれ、75歳の今になってノーベル文学賞を受賞した理由を考えます。
ボブ・ディランの凄い「受賞歴」
まずは最もわかりやすい「受賞歴」から確認しておくことにしましょう。
ボブはこれまでに11度のグラミー賞を受賞しており、そのうち「最優秀男性ロック・ボーカル」に2度、「最優秀コンテンポラリー・フォーク・アルバム」には3度輝いています。
「風に吹かれて」「ライク・ア・ローリング・ストーン」はシングルとしてグラミーの殿堂に選ばれており、そのほか3枚のアルバムと1曲のトラックが殿堂入りしています。グラミー賞はアメリカで音楽産業において優れた作品を創ったクリエイターに送られる世界で最も権威のある音楽賞の1つ。
この受賞歴だけでもボブの凄さがわかります。しかし彼の受賞歴はこれだけではありません。1990年には「芸術・文学[1] の領域での創造、もしくはこれらのフランスや世界での普及に傑出した功績のあった人物」に授与されるフランス芸術文化勲章を、2008年には新聞などの印刷報道、文学、作曲に与えられる米国で最も権威ある賞であるピューリッツァー賞の特別賞を受賞しています。
他にもアメリカ国民芸術文化勲章(2009年)、大統領自由勲章(2012年)などの受賞歴もあります。さらにはロックに大きな影響・功績を残したミュージシャンやプロデューサーなどの記録が展示・保存されている、米オハイオ州にある博物館「ロックの殿堂」には、1988年に選出され、「ロックン・ロールの歴史500曲」の中にボブの楽曲5曲がエントリーしています。とにかくボブは「音楽界の生きるレジェンド」なのです。